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静電気の対策

3-6 異物・静電気対策、イオナイザー(除電器)に関する注意事項

異物対策・静電気対策・イオナイザー(除電器)に関する注意事項

この記事では、異物対策・静電気対策・イオナイザー(除電器)に関する注意事項をまとめました。
加湿・エア・ファンによる異物・静電気対策や、漏電する構造のイオナイザー、火災を引き起こす構造のイオナイザーには注意が必要です。

詳細は、以下のタイトルをクリックすると、内容が表示されます。
 

 
古くから静電気対策の一手段として加湿による対策が行われてきました。梅雨時の湿度が高くてベタベタした環境では静電気は感じられないことから、高温多湿にすれば静電気問題も解決できるとして慣行的に行われてきました。

加湿による静電気対策が代表的な分野としては、以下のものがあります。
 ・繊維工場や製紙工場、紙やプラスチックフィルムの印刷工場
 ・半導体を扱う電子工場でも静電気対策として加湿が行われているケース
 ・最先端分野なのに、加湿を使用している自動車工場の塗装工程

しかし、加湿は、さまざまな問題を引き起こしています。
 

加湿によるさまざまな問題点警告

1. 半田付け不良発生

電子部品のリードや端子がサビるため、半田付け不良が発生する。
チップ部品 IC部品 基板実装
 

2. 電気接点が故障し、制御不能になる半田付け不良発生

多湿による結露から、リレー、ブレーカーなどの接点が酸化し接点不良を起こす。
LED部品ブレーカー
 

3. 金型がサビる

プラスチック成型や板金プレス、鍛造、ダイキャストなどの金型が多湿による結露からサビる。サビた金型は使えないため結露防止対策には神経を使っている。
金型
 

4. 機械設備がサビる

機械設備の筐体など金属部が多湿による結露からサビる。
機械設備
 

5. 材料が変質する

多湿によりプラスチックレンズなどの光学部品の表面が変質しクモリが発生する。有機ELの部品は湿度により寿命が劣化する。
光学部品の表面が変質
 

6. 塗装時に塗装ムラが発生

塗装される物の表面に結露が発生すると塗装ムラが発生する。
塗装ムラが発生
 

7. 異物不良が増える

結露を防止するには工場内全域に湿度が上がりすぎないようにしなければならない。
工場内の気温を場所によらず均一にして、かつ変動しないようにしなければならないため、 ファンで空気を撹拌し、天井近くの暖かい空気を床に向かって吹き降ろし、床付近の冷たい空気を天井に向かって吹き上げる。
この空気の撹拌はホコリを舞い上げることから、異物付着による不良発生を助長してしまう。
元々、異物不良を減らすために静電気対策として加湿を採用したのに、結果は逆で異物不良を増やしてしまう。
結露工場内を加湿
 

8. 機械による紙のハンドリングが困難になる。

多湿により紙の腰がなくなり、ハンドリング時にシワが発生したり紙のサバきができなくなる。
機械による紙のハンドリングが困難になる
 

9. 繊維や紙にカビが生える。

高温多湿により繊維や紙にカビが生えて、製品が不良になる。
繊維や紙にカビが生える
 

10. 不衛生になり食品が劣化する

高温多湿で細菌が繁殖しやすい環境になり食品が腐敗しやすくなる。
不衛生になり食品が劣化する


 

11. 作業者の皮膚病が悪化する

高温多湿な作業環境は皮膚病を悪化させることがある。
高温多湿な作業環境は皮膚病を悪化させる
 

12. 設備投資が必要

噴霧する純水を作る純水製造装置、工場内に張り巡らす純水の配管、工場内に多数分布させる噴霧器などの設備投資と工事費用がかかる。
設備投資が必要
 

13. ランニングコストが高くなる

純水製造などの電力費用がかかる。
特に塗装工場では塗料の溶剤が揮発するため常時換気をしなければならないが、換気することは除湿をすることになるので、湿度を保つためにさらに加湿を強化しなければならない。
即ち加湿システムと除湿システムが相反する状態であるため、結果的に不毛な電力浪費だけが残る。
ランニングコストが高くなる
 

14. 設備のメンテナンス費用が高くなる

純水配管の接続部から漏水が発生するため、常時漏水対策が必要である。
純水配管の接続部から漏水が発生するため、常時漏水対策が必要


 

加湿から脱却できる新しい方法『空間トリンク』

『空間トリンク』は広い空間に無風で空気イオンを飛翔させます。イオンはプラスのイオンとマイナスのイオンが同量になるように制御されています。
従って空間中にある静電気はイオンによって一様に中和されて消滅します。「一様に」と言うのは製品や部品、部材の静電気はもちろんのこと、空間に浮遊するホコリの静電気をも中和します。

従来のイオナイザー(除電器)では物体の静電気を除去するのみで浮遊するホコリの静電気は中和できませんでした。空間トリンクのこの「ホコリの静電気を中和する」特徴は、異物付着による不良を激減させることができます。異物が付着する現象は物体の静電気とホコリの静電気が引き合って起きているため、この不良を減らすには両者の静電気を除去する必要があります。

しかし、従来のイオナイザーは物体の静電気は除去しても、肝心なホコリの静電気を除去できなかったため、異物不良が絶えなかったのです。
この原因に気が付かなかったことが主な原因ですが、同時に適切な方法や装置がなかったことも挙げらます。
空間トリンク
 

『空間トリンク』による除電のしくみ


空間トリンクがどのようにして空間に浮遊するホコリの静電気を中和するかを紹介します。

■従来のファンやエアで風を送るイオナイザー(除電器)(これを有風イオナイザー(除電器)という)では、空間に浮遊するホコリの静電気を中和しようとすると空中に向かってイオン風を送らなければなりませんでした。
しかし、有風イオナイザーの有効範囲は1.5m程度しかありませんから、何台ものイオナイザーをいたるところに並べて、空中に向かって風を送る必要がありました。
しかし、風はホコリを舞い上げるので空間にはホコリが乱舞し、逆に異物不良は増えてしまい何のための静電気対策か分からなくなっていました。
従来の有風イオナイザーは空間に浮かぶホコリの静電気対策には無力でした。

■空間トリンクはイオンを作り、イオン間に働くクーロン力(反発力と吸引力)を利用してイオンを広い空間に飛翔させます。
空間トリンクではイオンは飛び交いますが、風は全く起きませんから、あらゆるものを無風で除電することができます。
空間トリンクの除電作用は強力です。空間トリンクと加湿の除電能力を比較してみたところ、
ナイロン樹脂の表面に帯電した静電気に対し、加湿では5分以上経っても静電気がなくりませんでしたが
(10kVもの静電気が残っていた)、空間トリンクで除電したらところ約20秒でほぼ0Vにすることができました。

空間トリンクは加湿の弊害である「湿度」を不要にしました。
乾燥期の2月のように、さらさらと乾燥した雰囲気においても静電気がない環境を実現することができます。
過去何十年にも亘って行われてきた「加湿」に代わる新しい時代の静電気環境対策技術が開発されました。静電気対策の大きな変革期が到来したと言えます。
 

従来型防爆認定イオナイザー(除電器)は、イオンを発生させる高電圧部に異物が付着して漏電を起こし、火災や爆発事故につながる危険性があります
 

 1. 従来型 防爆認定イオナイザー(除電器)の問題点!

 

1) 高圧部に触れるとスパーク発生
放電針(電極針)となどの高電圧部位がむき出しになっている場合、人の手や治具などが触れると可燃性雰囲気中で火花放電が発生する事があり、火災につながる恐れがあります。


2) 高電圧部に異物が付着して漏電発生
高電圧を絶縁する絶縁体の表面に導電性の異物が付着すると、漏電が発生し火災・爆発事故へつながります。

防爆認定除電器の発火原理


 

 2. TRINCの防爆認定構造は安全!

安全構造

イオナイザー(除電器)本体は3重の容器に格納されていて最外装はアルミで覆われ機械的な強度を確保しています。
メンテナンスはTRINC独自のワンタッチクリーナを搭載し放電針(電極針)の汚れをワンタッチで清掃できます。放電針が減耗した時の交換も分解することなく交換が可能です。
TRINCの防爆認定除電器の構造
 

2重の安全対策

TRINCの防爆認定構造は2重の安全対策が取られています。
危険領域には各種防爆構造を採用し、安全領域には制御盤を置き流れる電流を監視し異常があれば即座に電流を遮断します。
TRINCの2重安全対策

 

漏電するイオナイザー(除電器)は要注意です!
イオンを発生させる高電圧部とエアが同居したイオナイザーを使うと、漏電を起こし火災事故につながる危険性があります。

 

警告なぜ漏電が起きるのでしょうか?


1. 有漏電構造(高電圧部とエアが同居)

エアは圧縮されているため開放される時「空気の断熱膨張」が起こり、
エアの温度が一気に下降するため、エアの中に含まれている湿気は結露して霧が発生します。
放電針(電極針)は高電圧により漏電が発生しないように絶縁体によって絶縁支持されていますが、
霧が絶縁体の表面に付着して絶縁性を劣化させ、絶縁破壊が起こり漏電が発生します。
漏電によりイオナイザー(除電器)の機能低下や故障はおろか火災を招いています。この漏電を引き起こす構造を「有漏電構造」と呼んでいます。
TRINCでは「無漏電構造」を開発・採用し安全性を確保しています。

有漏電構造の例
有漏電構造の例 拡大図


2. 漏電と焦げ

漏電を発生させてしまうと、電流の流れた跡はプラスチックが焦げて黒くなります。
これは絶縁体が焦げて炭素(カーボン)が発生した事を意味します。炭素は電気をよく通す物質です。
一旦、絶縁体が焦げると加速度的に漏電電流が流れ高電圧は低下しイオンを発生させているコロナ放電は停止します。
イオンが発生しなくなるのでイオナイザー(除電器)としての機能はなくなります。
さらに、このまま使い続けると、ついには火災につながります。
実際、ある自動車の塗装工場では発煙事故を起こし、周囲に可燃性のシンナーが舞っていたため
「慌てて電源を切った」と言う事がありました。

漏電は異物(カーボン)を吹き出し環境を破壊
漏電は異物(カーボン)を吹き出し環境を破壊


3. 漏電による発火

放電針(電極針)にかかっている高電圧は絶縁体の表面を伝って常に漏電したがっています。
絶縁体に異物やホコリが付着すると漏電がおこります。いわゆるトラッキング現象で、火災に発展します。
実際、ある印刷会社では、絶縁性の低いインキが付着し、漏電が発生して、溶剤を含んだインキに引火して火災が起こりました。

トラッキング現象
トラッキング現象

 

参考:無漏電構造

電気工学の基本に「エアと電気は同居させてはならない」があります。
100Vの電源でもトラッキング現象(ホコリが付いて漏電が発生する現象)を恐れているのに、
7000Vもの高電圧を用いてイオンを発生させているイオナイザー(除電器)では、霧を含みやすいエアと絶対に一緒にしてはいけません。
漏電を起こす事になります。
イオナイザー業界では、長年「有漏電構造」のイオナイザーが使われており、現在でも「有漏電構造」の除電器が多く使われています。
TRINCが開発した「無漏電構造」は、危険な高電圧を別室に格納してエア流路と隔離した構造です。
「無漏電構造」を採用したTRINCの製品は、従来、わずか1週間で壊れていたイオナイザーの寿命を大幅に延ばし
「10年使ったが未だノートラブル」と言う長寿記録を樹立しました。

TRINCの無漏電構造
TRINCの無漏電構造

エアによる静電気・異物の対策は要注意です! イオナイザー(除電器)というとファン型タイプを思い浮かべると思いますが、棒状のバー型イオナイザー(除電器)やエアガン型の除電器も広く用いられています。
従来のバー型やエアガン型のイオナイザーは必ずエアを使用して、作ったイオンを除電対象物までエアで送っています。
一般的なイオナイザーの構造と動作は次のようになります。

 (1) イオナイザーは「高電圧発生電源」、「コロナ放電針(電極針)」、「エア流路」から構成されています。
 (2) 放電針(除電器)に高電圧を印加してコロナ放電をさせ、空気をイオン化します。
 (3) 放電針(除電器)にエアを供給して、空気イオンをイオナイザーから運び出し除電対象物まで送ります。

実はここに次のような基本的な問題があります。

 1. 漏電が起こる
 2. 放電針(電極針)のメンテナンスが大変
 3. エアは異物を吹き付ける
 4. エアが周囲のホコリを巻き込んで吹き付ける
 5. エアブローがホコリ舞い上げて異物不良をつくる
 6. コンプレッサーの消費電力が大きい
 

警告エアによるさまざまな問題点

 

1. 漏電が起こる

エア中に含まれていた湿気は断熱膨張により結露して霧が発生し、高電圧の放電針(電極針)から漏電を発生させます。
漏電すればイオンが止まりさらに使い続けると火災が発生する恐れもあります。
漏電を発生



2. 放電針(電極針)のメンテナンスが大変

エアを使うと漏電が起きるため、放電針を支える絶縁体(プラスチック)の表面が焦げてカーボンが発生。
焦げたカーボンは容易には除去できないためメンテナンスが大変です。
放電針のメンテナンスが大変




3. エアは異物を吹き付ける

圧縮空気(エア)は、フィルターで濾過しますが、完全には濾過しきれず、
フィルターの目より細かい異物は そのまま製品吹き付けてしまいます。
エアは異物を吹き付ける



4. エアが周囲のホコリを巻き込んで吹き付ける。

エアが周囲のホコリを巻き込んで製品に吹き付けるため異物不良を作ってします。
エアが周囲のホコリを巻き込んで吹き付ける
 



5. エアブローがホコリ舞い上げて異物不良をつくる

エアが机や物体に堆積しているホコリを舞い上げて異物不良を作ってします。
エアブローがホコリ舞い上げて異物不良をつくる
 



6. コンプレッサーの消費電力が大きい

エアを使うイオナイザー(除電器)はエアコンプレッサーの消費電力は膨大なものとなります。
放電針(電極針)一本あたり、年間1万円の電気料がかかるため、除電バー、一本で年間15万~30万円かかります。
コンプレッサーの消費電力が大きいコンプレッサーの消費電力が大きい
 
ファン型イオナイザー(除電器)による静電気・異物の対策は要注意です! ファン型イオナイザーは、ファンが風を起こすためさまざまな問題を引き起こします。

一般的なファン型イオナイザーの基本的な問題点は、以下の通りです。

 1. ファン型イオナイザーは浮遊しているホコリを吹き付けて不良を作る
 2. ファン型イオナイザーは堆積しているホコリを舞い上げて不良を作る
 3. ファン型イオナイザーは消費電力が大きい
 4. AC型パルス型のファン型イオナイザーは製品(半導体)を破壊する危険がある
 5. ファン型イオナイザーの風が小さなワーク(チップ部品)を吹き飛ばす

 

警告ファン型イオナイザーによるさまざまな問題点

 

1. ファン型イオナイザーは浮遊しているホコリを吹き付けて不良を作る

ファン型イオナイザーは空間に浮遊しているホコリを製品に吹き付けて不良を作ります。
ファンブロー除電器は集塵機兼発塵機


 

2. ファン型イオナイザーは堆積しているホコリを舞い上げて不良を作る

ファン型イオナイザーを中心とした空気の循環流が起こり、
風で舞い上げられたホコリはこの循環流に乗って巡回しやがて製品に付着して異物不良を発生させます。
ファンブロー除電器はホコリを舞い上げる


 

3. ファン型イオナイザー(除電器)は消費電力が大きい

ファン型イオナイザーはイオンを運ぶ風を起こすために消費電力が大きくなります。
 


 

4. AC型パルス型のファン型イオナイザー(除電器)は製品(半導体)を破壊する危険がある

AC型やパルス型のイオナイザー(除電器)は前面から強い電気力線を漏出しているため、
近くを通過する半導体や近くに置かれた精密電子装置を破壊する恐れがあります。
AC型パルス型のファン型イオナイザー(除電器)は製品(半導体)を破壊する危険がある   AC型パルス型のファン型イオナイザー(除電器)は製品(半導体)を破壊する危険がある


 

5. ファン型イオナイザー(除電器)の風が小さなワーク(チップ部品)を吹き飛ばす

チップ部品は小型化が進み極小サイズとなり、ホコリとの区分けが難しくなってきています。
チップマウンターで実装時にファンイオナイザーから風を吹き付けると極小の電子部品が吹き飛んでしまいます。
ファン型イオナイザー(除電器)の風が小さなワーク(チップ部品)を吹き飛ばす



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この記事を書いたのは
私たちTRINCは、異物・静電気対策の専業メーカーです。異物×静電気問題から解放された理想的なものづくり環境を構築するための独自技術で、現場で日々問題解決に取り組む方々を全力で支援します。 企業概要ページはこちら
 
監修
経歴
高柳 順
名古屋大学大学院工学研究科量子工学専攻卒(工学博士)。専門は量子工学・応用物理学。名古屋産業科学研究所研究員やアイシン精機(現アイシン)を経て、株式会社TRINC(トリンク)現社長。
   

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