クリーン環境の構築
4-1 クリーンルームとは

クリーンルーム(cleanroom)とは、工場や研究所などに特別に建築されるクリーン(清浄)な部屋を指します。ここで言うクリーン(清浄)とは、空気中に浮遊する微粒子(微細異物・浮遊パーティクル)の数が一般的な空間に対して少ないこと意味します。
クリーンルームは、製品への異物付着を嫌う半導体、電子部品、バッテリー、精密機器、光学機器、医療機器・製薬、食品等の様々な分野で活用されています。これらの分野では、製品に異物が付着すると基本性能・信頼性の劣化、外観不良、検査装置の誤検出、衛生上の問題等を引き起こすため、製品をいかに異物から守るかが重要になります。
今回はクリーンルームの仕組みや、その維持方法、費用を抑えて効果を引き出す秘訣につい紹介していきます。
1. クリーンルームとは?
クリーンルームは以下のように定義されます。
異物が付着・混入すると問題が発生する製品・資材を扱う際に製品・資材を異物から守ることを目時として導入される建築設備がクリーンルームです。区切られた部屋の中の浮遊異物を可能な限り回収し、また部屋の中に持ち込まれる異物を可能な限り少なくすることで空気中に浮遊する微粒子の数を基準値以下に抑えます。浮遊異物が少なくなればなるほど製品や資材へ異物が付着する確率を低減させることができます。
もちろん、扱う製品によって求められる清浄さの基準は異なるため、クリーンルームといっても実際にはクラスで分けられた複数のグレードがあります。また、部屋のサイズも千差万別であり、人ひとりで作業する小部屋の場合もあれば、大規模なクリーンルームとなるとフロア全体をクリーンルームとする場合もあります。
「空気中における浮遊微小粒子、浮遊微生物が限定された清浄度レベル以下に管理され、その空間に供給される材料、薬品、水やその他についても不純物、ゴミを取り除いてゴミを持ち込まないようにしようとする空間」 『コンタミネーションコントロール用語 JIS Z8122 4001』より一部抜粋 |
異物が付着・混入すると問題が発生する製品・資材を扱う際に製品・資材を異物から守ることを目時として導入される建築設備がクリーンルームです。区切られた部屋の中の浮遊異物を可能な限り回収し、また部屋の中に持ち込まれる異物を可能な限り少なくすることで空気中に浮遊する微粒子の数を基準値以下に抑えます。浮遊異物が少なくなればなるほど製品や資材へ異物が付着する確率を低減させることができます。
もちろん、扱う製品によって求められる清浄さの基準は異なるため、クリーンルームといっても実際にはクラスで分けられた複数のグレードがあります。また、部屋のサイズも千差万別であり、人ひとりで作業する小部屋の場合もあれば、大規模なクリーンルームとなるとフロア全体をクリーンルームとする場合もあります。
2. クリーンルームの清浄度クラスとは
クリーンルームは一般環境と比較して空気中を浮遊する異物の数が少ない部屋ですが、どの程度少ないか(つまりどれくらいキレイなのか)を規格として定めた分類がクラス(清浄度)です。
クラスは、国際統一規格であるISO規格で定められています。ISO規格では1m3当たりの空気中に含まれる0.1µm以上の粒子の数が基準になっておりISOクラス1~9までクラスを分類しています。
ただし、業界では以前より広く慣用されている米国連邦規格を使用する場合が多い状況です。米国連邦規格(FED規格)では、1立方フィート(約30.5cm四方)の空気中に含まれる0.5µm以上の大きさの粒子の数によりクリーンルームのクラス分けをしています。例えば、0.5µm微粒子が1立方フィートのなかに100個以下の場合はクラス100、0.5µm粒子が10,000個以下の場合はクラス10,000となります。
クラスは、国際統一規格であるISO規格で定められています。ISO規格では1m3当たりの空気中に含まれる0.1µm以上の粒子の数が基準になっておりISOクラス1~9までクラスを分類しています。
ただし、業界では以前より広く慣用されている米国連邦規格を使用する場合が多い状況です。米国連邦規格(FED規格)では、1立方フィート(約30.5cm四方)の空気中に含まれる0.5µm以上の大きさの粒子の数によりクリーンルームのクラス分けをしています。例えば、0.5µm微粒子が1立方フィートのなかに100個以下の場合はクラス100、0.5µm粒子が10,000個以下の場合はクラス10,000となります。

3. クリーンルームの5原則
クリーンルームはあくまで建築設備であり、設備を導入しただけでは異物問題が解決することはありません。クリーンルームの清浄度を維持して異物問題を防ぐためには、導入後の維持管理が不可欠です。そのためにはいくつかのルールを遵守しなければなりません。従来よりクリーンルームには4つの原則が必要だと言われてきましたが、近年では新たに1項目を追加した5つの原則を守ることが重要であると認識されるようになっています。
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① 異物を持ち込まない ・無塵衣(クリーンスーツ)の着用 ・イオンエアシャワー、パスボックスの使用 ・持ち込む資材の事前清掃 |
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②異物を発生させない ・無塵衣(クリーンスーツ)の着用 ・無駄な動き、急な動きをしない ・発塵しやすい設備、資材を使わない ・有風イオナイザーを使用しない |
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③ 異物を付着させない ・空間中の静電気を中和(空間除電®を用いた空間防塵) ・無風イオナイザーでホコリ引き付けを防止 |
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④異物を排除する ・発塵減の近くで排気 ・気流を妨げない配置・構造を採用 ・有風イオナイザーを使用して気流を乱さない |
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⑤異物を堆積させない ・清掃 ・ホコリが堆積しにくい配置・構造の採用 ・清掃がしやすい配置・構造の採用 |
4. クリーンルームの種類
クリーンルームは、制御対象がゴミやホコリであるか、或いは微生物であるかで大きく分類することができます。
インダストリアルクリーンルーム(ICR) | 空気中を浮遊するゴミ、ホコリを管理することで、製品に付着・混入するのを防止。 半導体、電子部品、精密機器、光学機器等の研究開発や製造で使用。 |
バイオロジカルクリーンルーム(BCR) | 空気中を浮遊する微生物や細菌を管理することで、細菌汚染、食品腐敗、交差汚染等を防止。 食品工場、製薬工場、医療機関、バイオ研究施設等で使用。 |
5. クリーンルームの構造:代表的な気流方式
一般的なクリーンルームは、天井に高性能エアフィルター(HEPAフィルター、ULPAフィルターなど)とファンが一体化した複数のFFU(ファンフィルターユニット)が取り付けられています。FFUから下方に向かって、フィルターでろ過された清浄な空気が供給されます。
FFUから供給された清浄な空気は床面あるいは床面近くの壁面に設置された排気ダクトにより回収されます。一部はクリーンルーム内で循環し、それ以外の空気は外に排気します。室内は気密性が保たれており、壁面に配置されたダンパーにより一定の陽圧になるように制御されています。
クリーンルーム内の気流という観点から、クリーンルームは一方向式クリーンルームと非一方向式クリーンルームに大きく分類することができます。
FFUから供給された清浄な空気は床面あるいは床面近くの壁面に設置された排気ダクトにより回収されます。一部はクリーンルーム内で循環し、それ以外の空気は外に排気します。室内は気密性が保たれており、壁面に配置されたダンパーにより一定の陽圧になるように制御されています。
クリーンルーム内の気流という観点から、クリーンルームは一方向式クリーンルームと非一方向式クリーンルームに大きく分類することができます。

一方向流方式
理想的なクリーンルームに近いものが、一方向流方式です。天井全面に設置したファンフィルターユニット(FFU)によりクリーンルーム内の気流を一方向に制御します(層流)。そして、床にはグレーチングを設置し、床面全体から空気を回収します。回収した空気は天井に戻して循環させることで室内を高清浄度に維持することが可能となります。
仮にクリーンルーム内部で作業者や設備等から異物が発生したとしても、一方向流に乗って速やかに床から回収できるため、異物が別工程に移動して異物問題を引き起こすリスクを避けることができます。ただし、気流は上から下に向かう垂直方向でなければなりません。横方向の気流は上流で発生した異物を下流に集めてしまうため、別工程で異物問題を増大させる可能性があり注意が必要です。また、内部で気流を乱してしまうとクリーンルームの性能を大きく劣化させてしまいます。静電気・異物問題の対策としてイオナイザーを使用する場合には、エアを使用する有風イオナイザーは厳禁であり、無風イオナイザーを用いなければならない事にも注意が必要です。
大規模な空調設備に加えてグレーチング床を設ける必要があるため導入閾値は極めて高いですが、より高い清浄度を得ることが可能です。清浄度ISOクラス3以上の高性能クリーンルームに適しています。
非一方向流方式
一方向流方式と異なり、FFUは天井の一部に配置されます。FFU直下では下方向にフィルターでろ過された清浄空気が流れますが、それ以外の場所では気流は厳密にコントロールされていません。クリーンルーム内部では、FFUから供給された清浄空気でクリーンルーム内の塵埃を希釈しながら清浄度が維持されることになります。
つまり、内部で発生した異物はその場で回収されるのではなく、希釈されながら徐々に回収されることになるため浄化能力という点では一方向流方式に及びません。そのため、異物が時間をかけて回収される前に製品に付着してしまうリスクを抑えるために、クリーンルーム内を空間除電し異物付着率を低減させることが非常に効果的です。
吐出風量が少なくて済むと同時にグレーチング床を設ける必要がないので、一方向流方式と比べて導入閾値が低く、世の中の多くのクリーンルームがこの方式を採用しています。清浄度ISOクラス3~7程度のクリーンルームに適しています。
理想的なクリーンルームに近いものが、一方向流方式です。天井全面に設置したファンフィルターユニット(FFU)によりクリーンルーム内の気流を一方向に制御します(層流)。そして、床にはグレーチングを設置し、床面全体から空気を回収します。回収した空気は天井に戻して循環させることで室内を高清浄度に維持することが可能となります。
仮にクリーンルーム内部で作業者や設備等から異物が発生したとしても、一方向流に乗って速やかに床から回収できるため、異物が別工程に移動して異物問題を引き起こすリスクを避けることができます。ただし、気流は上から下に向かう垂直方向でなければなりません。横方向の気流は上流で発生した異物を下流に集めてしまうため、別工程で異物問題を増大させる可能性があり注意が必要です。また、内部で気流を乱してしまうとクリーンルームの性能を大きく劣化させてしまいます。静電気・異物問題の対策としてイオナイザーを使用する場合には、エアを使用する有風イオナイザーは厳禁であり、無風イオナイザーを用いなければならない事にも注意が必要です。
大規模な空調設備に加えてグレーチング床を設ける必要があるため導入閾値は極めて高いですが、より高い清浄度を得ることが可能です。清浄度ISOクラス3以上の高性能クリーンルームに適しています。
非一方向流方式
一方向流方式と異なり、FFUは天井の一部に配置されます。FFU直下では下方向にフィルターでろ過された清浄空気が流れますが、それ以外の場所では気流は厳密にコントロールされていません。クリーンルーム内部では、FFUから供給された清浄空気でクリーンルーム内の塵埃を希釈しながら清浄度が維持されることになります。
つまり、内部で発生した異物はその場で回収されるのではなく、希釈されながら徐々に回収されることになるため浄化能力という点では一方向流方式に及びません。そのため、異物が時間をかけて回収される前に製品に付着してしまうリスクを抑えるために、クリーンルーム内を空間除電し異物付着率を低減させることが非常に効果的です。
吐出風量が少なくて済むと同時にグレーチング床を設ける必要がないので、一方向流方式と比べて導入閾値が低く、世の中の多くのクリーンルームがこの方式を採用しています。清浄度ISOクラス3~7程度のクリーンルームに適しています。
クリーンルーム気流方式の比較
気流方式 | 一方向流方式 | 非一方向流方式 |
気流 | 一方向(垂直方向) | 多方向 |
浄化能力 | 極めて高い | 高い |
静電気対策 | 無風イオナイザーが不可欠 空間除電が著効 |
無風イオナイザーが不可欠 空間除電が著効 |
初期費用 | 極めて高い | 高い |
維持費用 | 極めて高い | 高い |
応用分野 | 半導体、医薬品等の限られた分野 | 多くの分野 |
6. クリーンルーム導入のメリット・デメリット
クリーンルームを導入することには、どのようなメリット・デメリットがあるでしょうか。
6-1. メリット
不良品が少なくなる | 極めて清浄度の高い空間で作業を行うため、異物混入が減り、不良品が少なくなるというメリットがあります。また、バイオロジカルクリーンルームならば微生物もコントロールしているため、醸造や培養がスムーズに進みやすくなります。 |
企業・品質に対する 安心感が高まる |
クリーンルームで製品をつくることで、不純物や汚れのない品質を期待でき、消費者の安心感を得られます。また、クリーンルームで作業をしている会社と言うこと自体が、安心感につながり、高い宣伝効果も得られます。 |
6-2.デメリット
大きな初期投資費用 | クリーンルームは導入費が高額かつまとまったスペースが必要です。クリーンルームとして使える適切な空間がない場合には、建築費もかかりさらに高額になります。スペースやクラスによって大きく変動しますが、しっかりとしたクリーンルームを設けたいと考えると数千万~数億円の初期投資が必要になります。 |
大きな維持費用 | クリーンルームは、内部を清浄化するのに時間がかかるため、出社後すぐに作業が開始できるようにするために、24時間体制で稼働している場合が多いです。また、HEPAフィルターも定期的に交換する必要があります。 以上のように、空調にかかる電気代や高価なフィルター等の消耗品を考えると、トータルのランニングコストは膨大になります。 |
レイアウト変更や 拡張が困難 |
一旦クリーンルームを導入すると、それ以降は継続的にクリーンルームを維持していかなければなりません。生産品目が変わるなどしてレイアウトを変更する可能性がある場合、将来的に管理水準を変更したい場合等には注意が必要です。 |
導入期間中の 生産停止 |
新規に建屋を建築する場合には問題ありませんが、既存の工場の一部をクリーンルームに変更する場合には、当然ながら建築工事の期間は現在の生産を停止し既存設備を移設しなければなりません。 |
異物付着を防止しきれないことも!?
従来のクリーンルームでは、エアシャワーで人体に付着したホコリを除去し、内部の気圧を高めて外部からの侵入を防ぐことで高い清浄度を維持しています。
しかし、実際には異物による問題が発生しています。原因の一つは作業者や装置からの発塵です。エアシャワーで表面のホコリは除去できますが、作業者の動作によりクリーンスーツ内部のホコリが隙間から吹き出してしまいます。

もう一つの原因は、クリーンルーム内に発生する横風です。グレーチング床を設置するのが困難な場合、壁の下部にある回収口から汚れた空気を回収する方式が一般的です。風上から風下にホコリが流れ、静電気対策が不十分な場合には製品に付着する恐れがあります。

6-3.デメリットの解決策
上で述べたように、クリーンルームを導入しようとするときに障壁になるのが、大きな投資と将来にわたって継続する維持費用です。思い切ってクリーンルームを導入してみたものの、狙った効果が得られなかった、逆に必要な工程は一部だけで過剰な投資だったと後から判明したらと考えると不安になりなかなか導入に踏み切れない方もいると思います。

このような不安を抱える方に提案したいのが、『TRINCクリーンルームユニット』です。
従来のクリーンルームのような建築工事が不要で、既存の空間に設置する後付け型のクリーン環境構築機器です。イニシャルコスト・ランニングコストを抑えつつ、導入後の拡張やレイアウト変更にも柔軟に対応可能です。さらに、浮遊異物を回収して清浄度を上げるだけでなく空間除電®により異物付着を防ぎ、静電気対策も万全です。導入が手軽で効果的な新しいクリーン環境の選択肢として、TRINCクリーンルームユニットを是非ご検討ください。
一方で、既存クリーンルームの性能を効果的に高めるツールとして、『空間トリンク』がお勧めです。空間トリンクは、例えばクリーンルームの天井に設置してイオンを分散させることでイオン空間にすることもできます。空間内の静電気を中和し、異物の付着を防止します。これにより、クリーンルームの清浄度を実質的に1桁向上させる効果が期待できます。クリーンルームだけでなく更衣室に設置すれば、クリーンスーツへの異物付着防止にも活用可能です。クリーン環境の改善に役立つ空間トリンクの詳細については、解説をご覧ください。

7.空気清浄度の測定方法
クリーンルームを稼働させる中で、狙った空気清浄度が維持できているかどうかを確認するには、空気中の浮遊微小粒子の数を計測する必要があります。
清浄度の測定には、一般的にパーティクルカウンターが使われます。パーティクルカウンターは、対象空間の一定量の空気を吸引し、その空気中に含まれるパーティクルの数を光散乱によって検出します。パーティクルサイズごとの異物数をカウントできるので、クリーンルームがクラスで定義される状態になっているかどうかを確認することができます。
ただし、パーティクルカウンターで正確にパーティクル数をカウントしようとすると、測定にある程度の時間を要するため、複数個所での測定は現実的ではありません。ところが、実際の現場では、装置や人の動線によって清浄度が場所によって異なることがほとんどです。そのため、異物対策を考える上でより重要なことは、クリーンルーム全体としてクラスに適合しているかどうかではなく、必要な場面で適切な清浄度が確保できているかです。
そのために最適な測定機器が、クリーンルーム清浄度モニタです。クリーンルーム清浄度モニタは、クリーンルーム内の清浄度を手軽にリアルタイムで測定する環境評価装置です。0.5µm以上、または2.5µm以上のパーティクル数を測定可能です。PC接続によりデータを収集し、清浄度の推移をExcelベースのソフトで簡単にグラフ化・管理できます。設置場所の自由度と高精度な応答性能により、突発的な変化から季節変動まで幅広く対応でき、クリーンルーム管理を強力にサポートします。
清浄度の測定には、一般的にパーティクルカウンターが使われます。パーティクルカウンターは、対象空間の一定量の空気を吸引し、その空気中に含まれるパーティクルの数を光散乱によって検出します。パーティクルサイズごとの異物数をカウントできるので、クリーンルームがクラスで定義される状態になっているかどうかを確認することができます。
ただし、パーティクルカウンターで正確にパーティクル数をカウントしようとすると、測定にある程度の時間を要するため、複数個所での測定は現実的ではありません。ところが、実際の現場では、装置や人の動線によって清浄度が場所によって異なることがほとんどです。そのため、異物対策を考える上でより重要なことは、クリーンルーム全体としてクラスに適合しているかどうかではなく、必要な場面で適切な清浄度が確保できているかです。
そのために最適な測定機器が、クリーンルーム清浄度モニタです。クリーンルーム清浄度モニタは、クリーンルーム内の清浄度を手軽にリアルタイムで測定する環境評価装置です。0.5µm以上、または2.5µm以上のパーティクル数を測定可能です。PC接続によりデータを収集し、清浄度の推移をExcelベースのソフトで簡単にグラフ化・管理できます。設置場所の自由度と高精度な応答性能により、突発的な変化から季節変動まで幅広く対応でき、クリーンルーム管理を強力にサポートします。

8.クリーンルームの維持管理
ここまでは、クリーンルームの概要や、どういう仕組みで清浄な空間を作っているのかを解説してきました。さて、クリーンルームがあるべき機能を発揮するには、適切な維持管理が必要です。この章では、クリーンルームの性能を維持するために不可欠な、服装、換気、温度湿度管理、清掃といった維持管理について詳しく解説します。
8-1: クリーンルームの服装…クリーンウェア

クリーンルーム内での異物発生の原因の大半は人にあります。毛髪や皮膚片などの発塵や、作業者が動くことで異物の巻き上げなどが起こり、クリーンルーム内の清浄度を下げてしまいます。そのために作業者は、クリーンスーツ(防塵服、無塵衣)を着用する必要があります。クリーンスーツとは、クリーンルームで着用する作業服です。加えて、キャップ、手袋、オーバーソックス等で全身を覆い、人から発生する異物を外に出さないように極力抑えます。
ここで注意が必要なのが、前述したように、クリーンスーツを着用したからと言って、清浄度を完全に維持することは困難です。クリーンスーツ内部で発塵することに変わりないので、全身を覆ったとしても作業者の動作によりクリーンスーツ内部の異物を隙間から吹き出してしまいます。
クリーンスーツに付着したパーティクルを除去するために使用されるエアシャワーですが、静電気を帯びた異物は衣服に強く吸着し、エアーを吹き付けても十分に除去できません。ホコリは風で移動するだけで再付着し、風が新たな静電気を発生させることで、さらに吸着を強めてしまいます。また、エアシャワーで飛ばしたホコリはドアの開閉によりクリーンルームに漏れ出し、清浄な環境を汚染します。特に汚れやすいのは床に近いひざ下や靴底ですが、多くのエアシャワーはこの部分に対応しておらず、完全なクリーニングとは程遠いのです。
この問題を解決するのが、TRINCイオンエアーシャワーキットです。静電気を除去しながらホコリを払うことで、従来型エアシャワーを大きく上回る除塵率を実現します。膝下や靴底まで均一にクリーニングできるため、クリーンルームへの異物持ち込みを大幅に削減します。さらに、ドアレス構造と高速回収機能により、従来比約3倍の処理能力を達成し、待ち時間を解消します。独自の気流コントロールにより、異物の外部流出を防ぎ、周囲の空気も浄化できるため、クリーンルーム内での使用にも適しています。
ここで注意が必要なのが、前述したように、クリーンスーツを着用したからと言って、清浄度を完全に維持することは困難です。クリーンスーツ内部で発塵することに変わりないので、全身を覆ったとしても作業者の動作によりクリーンスーツ内部の異物を隙間から吹き出してしまいます。
クリーンスーツに付着したパーティクルを除去するために使用されるエアシャワーですが、静電気を帯びた異物は衣服に強く吸着し、エアーを吹き付けても十分に除去できません。ホコリは風で移動するだけで再付着し、風が新たな静電気を発生させることで、さらに吸着を強めてしまいます。また、エアシャワーで飛ばしたホコリはドアの開閉によりクリーンルームに漏れ出し、清浄な環境を汚染します。特に汚れやすいのは床に近いひざ下や靴底ですが、多くのエアシャワーはこの部分に対応しておらず、完全なクリーニングとは程遠いのです。
この問題を解決するのが、TRINCイオンエアーシャワーキットです。静電気を除去しながらホコリを払うことで、従来型エアシャワーを大きく上回る除塵率を実現します。膝下や靴底まで均一にクリーニングできるため、クリーンルームへの異物持ち込みを大幅に削減します。さらに、ドアレス構造と高速回収機能により、従来比約3倍の処理能力を達成し、待ち時間を解消します。独自の気流コントロールにより、異物の外部流出を防ぎ、周囲の空気も浄化できるため、クリーンルーム内での使用にも適しています。

8-2:温度、湿度管理
クリーンルームの内部は、温度・湿度が管理されています。主な目的は2つあり、1つ目は労働者の健康管理、2つ目が製品の品質確保です。
クリーンルームの内部は空気中の浮遊微粒子を排除し清浄な空気を保つため、外気と隔離された構造を有しています。
内部では空気の流れがほとんどないため、内部の温度や湿度が上がりやすく、高温多湿の気候が続く夏季は注意が必要です。クリーンルーム用の空調を導入して室温22~25度、湿度50~60%に保つことが、労働者の健康を守る上で重要です。
一方で、乾燥した冬季には静電気を防止するために加湿して湿度をコントロールする場合があります。加湿は、古くから使用されている対策ですが、内部を均一に加湿するための膨大なエネルギー消費や純水の管理の手間がデメリットとなります。とはいっても、管理が行き届いていない場合には結露や水漏れ、錆や光学部品の曇が発生する等の問題が発生するため費用と時間をかけて管理を徹底しなければなりません。
クリーンルーム内の静電気対策には、加湿に変わる新しい対策「空間除電®」が効果的です。対策費用と消費エネルギーを抑えながら加湿以上の静電気対策が可能となります。
クリーンルームの内部は空気中の浮遊微粒子を排除し清浄な空気を保つため、外気と隔離された構造を有しています。
内部では空気の流れがほとんどないため、内部の温度や湿度が上がりやすく、高温多湿の気候が続く夏季は注意が必要です。クリーンルーム用の空調を導入して室温22~25度、湿度50~60%に保つことが、労働者の健康を守る上で重要です。
一方で、乾燥した冬季には静電気を防止するために加湿して湿度をコントロールする場合があります。加湿は、古くから使用されている対策ですが、内部を均一に加湿するための膨大なエネルギー消費や純水の管理の手間がデメリットとなります。とはいっても、管理が行き届いていない場合には結露や水漏れ、錆や光学部品の曇が発生する等の問題が発生するため費用と時間をかけて管理を徹底しなければなりません。
クリーンルーム内の静電気対策には、加湿に変わる新しい対策「空間除電®」が効果的です。対策費用と消費エネルギーを抑えながら加湿以上の静電気対策が可能となります。
8-3.清掃
クリーンルームは空気中に浮遊する微粒子を除去することはできますが、自重で落下し床に堆積した異物は除去できません。そのため、定期的にクリーンルーム専用の掃除機、ウエス、粘着クリーナーなどの清掃道具を使って清掃する必要があります。主な使われる清掃道具は以下の通りです。
クリーンルームの清掃は、天井から床方向に、奥から手前方向に、狭い箇所から広い箇所へという具合に清掃したエリアを再度汚してしまわないように注意することが重要です。また、清掃したとしても、それにより静電気が発生してしまうと、その部位は集塵機のように別の異物を吸い寄せて吸着してしまうので静電気を対策しながらの清掃が極めて効果的であると言えます。
クリーンルーム用掃除機![]() |
床に堆積した異物を回収するために使います。HEPAフィルターなどの目の細かいフィルターで異物を環境に戻さないようにしていますが、廃気によりパーティクルが巻き上がるリスクがあるので注意が必要です。 |
クリーンルーム用ウエス![]() |
不織布やマイクロファイバーなどの細かい繊維で比較的小さい異物を拭き取ります。エタノールやIPAを含浸させて使用することで、発塵することなく清掃が可能です。 |
粘着ローラー![]() |
クリーンスーツに付着した異物や設備等に付着した異物を除去します。発塵・飛散は少ないですが、引き剥がす際に大きな静電気を発生させるために浮遊する異物を吸い寄せてしまうデメリットもあります。 |
クリーンルームの清掃は、天井から床方向に、奥から手前方向に、狭い箇所から広い箇所へという具合に清掃したエリアを再度汚してしまわないように注意することが重要です。また、清掃したとしても、それにより静電気が発生してしまうと、その部位は集塵機のように別の異物を吸い寄せて吸着してしまうので静電気を対策しながらの清掃が極めて効果的であると言えます。
9.まとめ
クリーンルームは、半導体・電子部品製造や光学・精密機器、医療分野など、微粒子や汚染物質の影響を受けやすい製品を取り扱う際に不可欠な環境です。高度な技術によって実現される清浄な空間ですが、その維持管理は非常に重要です。
本コラムでは、クリーンルームの基礎知識から、その維持管理における様々な要素について解説しました。クリーンルームの清浄度クラス、4原則に新たな項目を加えた5原則、構造など、クリーンルームを理解するための基本的な概念を押さえた上で、クリーンウェア、換気方式、温度湿度管理、清掃といった、日常的な維持管理の重要性を強調しました。
クリーンルームは、一度設置すれば万事OKというものではありません。常に最適な状態を保つために、定期的な点検や清掃、そして何より、クリーンルームを利用する人々の意識が求められます。
クリーンルームは、高度な技術と人々の意識が一体となって初めて、その機能を発揮できる空間なのです。
本コラムでは、クリーンルームの基礎知識から、その維持管理における様々な要素について解説しました。クリーンルームの清浄度クラス、4原則に新たな項目を加えた5原則、構造など、クリーンルームを理解するための基本的な概念を押さえた上で、クリーンウェア、換気方式、温度湿度管理、清掃といった、日常的な維持管理の重要性を強調しました。
クリーンルームは、一度設置すれば万事OKというものではありません。常に最適な状態を保つために、定期的な点検や清掃、そして何より、クリーンルームを利用する人々の意識が求められます。
クリーンルームは、高度な技術と人々の意識が一体となって初めて、その機能を発揮できる空間なのです。
クリーンルームユニットによる解決事例
クリーンルームの導入費用が1/4になり 同時に静電気対策も万全に |
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監修 経歴 |
高柳 順 名古屋大学大学院工学研究科量子工学専攻卒(工学博士)。専門は量子工学・応用物理学。名古屋産業科学研究所研究員やアイシン精機(現アイシン)を経て、株式会社TRINC(トリンク)現社長。 |
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