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静電気の物理

2-2 静電気はどのように発生するのか




 
静電気は次のような物理的な動作や操作でも発生します。どんな物質も、もともとプラスとマイナスの電気をたくさん持っています。プラスの電気とマイナスの電気の量が同じなら、その物質は帯電していない(電気的には中性な)状態です。物質(とくに不導体・絶縁体)をこすり合わせると、片方のマイナスの電気がはがれて、もう片方の物質に移ります。マイナスの電気をとられていた方の物質はマイナスの電気が足らなくなるのでプラスに、マイナスの電気をもらった方の物質はマイナスに帯電します。 
 

接触、摩擦、剥離、圧縮などによる帯電 

 
物質の接触や摩擦をすると静電気が発生します。接触すると側とされる側の間で電子の受け渡しが行われ、電子を受け渡した方がプラスに帯電します。実際の場面では接触、摩擦した後、両者は離れるため、最終的には剥離現象が起き静電気が見えるようになります。工場などの現場ではこのような静電気問題がよく目につきます。 


物質は圧宿されることによっても帯電が発生します。その発電性能を高めた物質の代表が圧電素子で、PZT(ピエゾ素子)と呼ばれています。わずかな圧宿力で高電圧の静電気を発生できるので、圧力センサーやライターなどの電子着火装置電源として用いられます。 
 
 

帯電器(チャージャ)による帯電 




 
チャージャとは、静電気を帯電させる装置のことです。対象物の表面に単極性のイオンを照射します。そのとき、対象物の裏側に電極を配置して、逆極性の高電圧またはグランド電圧を印加すると、対象物の表面にイオンが付着し静電気をよく帯電させることができます。実際の帯電器は、静電気を発生させてガラス板に保護フィルムを貼りつける工程などで用いられています。この帯電装置は強烈な静電気を発生させる能力をもっています。
 


 

導体の静電気発生は? 

これまで絶縁体について述べましたが、導体の場合も静電気は発生します。しかし、導体上では静電気発生現象を観測することは困難です。その理由は、導体に発生した静電気はただちに伝導し、導体上にはたまっていないため帯電が観測しにくいのです。しかし、正確には導体にも帯電することもあります。導体がアースから浮いていると、電荷はアースに逃げることができないので帯電します。もっとも、導体の場合は静電容量が大きいため、V=Q/Cで計算できるように、静電位が小さくなり測定限界以下になってしまい測定できないことが多いのです。つまり、帯電していても静電位として測定できないし、見えないことが多いのです。
 
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この記事を書いたのは
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監修
経歴
高柳 順
名古屋大学大学院工学研究科量子工学専攻卒(工学博士)。専門は量子工学・応用物理学。名古屋産業科学研究所研究員やアイシン精機(現アイシン)を経て、株式会社TRINC(トリンク)現社長。
 

 

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