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付着異物を除去する

5-3 ウェブクリーナ / パネルクリーナ


ウェブ(WEB)はロール状に巻き取られて搬送される箔、紙、フィルム、ワイヤーなどの柔軟な素材のことを指します。一方でパネルはガラス板、樹脂板、プリント基板、金属板などの薄い板状の素材のことを指します。WEBに比べて強固なもので、ある程度の厚みがあり剛性があります。今回はウェブやパネルに付着した異物を除去するクリーナのお話です。
 

 

WEBとパネルの時代

歴史を振り返るとブラウン管テレビが液晶テレビになった頃からWEB、パネルが脚光を浴びるようになりましたが、現在になってWEBとパネルの全盛時代を迎えたと言ってよいでしょう。それは、テレビに次ぐ新たな主役として電気自動車が躍り出てきたからです。その大変革の中核になるのが燃料のガソリンに代わる電池です。つい最近まではニッケル水素電池が注目されていましたが、最近はリチウムイオン電池へと移行し、今後は燃料電池へと進化するとされています。これらの電池はその構成材の中核を担う電極やセパレーターなどにおいて、WEB材料を多用する傾向にあります。
 他にも、食品、薬品、化粧品などの分野では容器や包装材がほとんどWEB材料を用いています。これらは用途に応じて染色、印刷、成形、塗装などの後加工が施され、容器、包装材、製品素材や製品として完成します。
 


 
このように、どちらを向いてもWEBとパネルの時代になってきましたが、世の中、生活水準や文化水準の向上に伴いあらゆるものがより精緻になり、WEB・パネル分野も印刷ミス、印刷汚れ、異物混入、異物付着などの欠陥に対して厳しい目が向けられ、製造工程で要求される品質は日増しに厳しくなり、以前は全く問題にされなかったことも問題視されるようになっています。
 異物不良の主な原因は静電気です。材料の状態で保管中に、あるいは加工工程において、静電気が異物を吸引・吸着してしまうのです。したがって静電気を除去しなければなりません。不幸にも吸着してしまった異物はそれぞれの加工工程の直前で除去しなければなりません。問題になる異物のサイズは業種によって異なります。一般的な食品分野や電機分野では数十µm程度以上の大きさの異物が問題とされていますが、光学やエレクトロニクスの超精密分野ではそれ以下のさらに微細な異物が厳しく追及されています。
 ここでは、付着異物対策に不可欠なフィルムを例にクリーナ事情を説明します。フィルムは静電気を帯びやすく面積も広いため、ホコリなどの異物が付きやすく、また付いてしまった異物を取り除くのはとても困難です。その製造工程では専用のフィルムクリーナを使っても、なかなか思うように異物問題が解決できない事をご存じでしょうか。主な理由は次の通りです。


異物除去の基本原理に問題がある
よくあるフィルムクリーナは、上方からエアを吹き付けて跳ね返ってきたエアを異物ごと回収するという構造を有しています(左図)。ところが、実際はフィルムに当たったエアはある理由から跳ね返らないため、ホコリも浮き上がりません。このため、フィルム上部に吸い込み口を設けても、払った異物を効率的に吸い込むことができないのです(右図)。

 
 
 また、フィルムと異物の間の静電気除去がうまく機能していない場合が多いです。異物付着の最大の原因が静電気であることを考えれば、どんなにエアブローを強くしても異物を除去することができないことは明らかです。


クリーニング設備が大型
装置が大型であるために、仮に最初の段階で異物を除去できたとしても、加工の工程を重ねるごとに再び付着してしまう例は少なくありません。加えて、送風・吸引する風力設備も別室が必要なほど大掛かりです。設置場所が限られて後工程に行けば行くほど異物付着のリスクが高まり、最終的に異物不良の発生が避けられなくなってしまいます。
 

 
 
次代を担う医療やエレクトロニクスの先進技術も、車載電池など社会に求められる先端製品も、その基幹材料であるフィルムの異物対策をないがしろにして、高度な性能や信頼性・安全性を確保することは不可能であり、異物対策への要望は今後もさらに高まることが予想されます。重要な対策手段であるフィルムクリーナの性能向上が多くの分野から望まれています。
 この期待に応えるために、静電気×異物対策のTRINCはご提案します。様々な分野で評価していただいている高性能イオナイザとTRINC独自のエアブロー方式により、高い除塵率を実現します。圧倒的な除塵能力かつ完全非接触のクリーニングが可能なだけでなく、裏表面を同時に除塵することができます。小型・低消費電力のため、工程内の必要な場所に自由に設置が可能で、工程を通して異物不良ゼロを達成しました。金属箔、金属シート、パネル、金属パネル、枚葉シートなど、使用する素材・形状に合わせてお選びください。詳しくはこちらをご覧ください。



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 コラム 

粘着クリーナ

粘着ローラーを使用して異物を除去するウェブクリーナがあります。最も簡単な構成としては、2つ装着した粘着性のあるゴム製ローラーにフィルムを巻き込むというものです。裏面と表面ともクリーニングするので効率よく除塵できると考えられています。
 しかし、いくつか検討しなければならない点もあります。原理上、搬送スピードが上げられない点です。ローラー間にフィルムを巻き入れる際、あまりスピードを上げるとフィルムにしわ寄せが起こる可能性があるため、どうしても搬送のスピードは遅くなります。特に薄い場合はしわ寄せが起こりやすく、最悪破損する恐れがあるため接触がNGな場合もあります。 もう一点は、ローラーが汚れるとワークについた異物が取れません。粘着ローラーが異物で覆われて粘性がなくなってしまうと、むしろフィルムに異物が付着する恐れがあります。粘着ローラーで異物を除去する場合、クリーニングするフィルムの種類が限られる上に、完全に除塵するのは難しいようです。
 加えて、粘着ローラーとフィルムが離れる際に発生する大きな静電気が問題となります。この静電気は、ローラーが異物を除去したその瞬間から周囲の異物を強烈に吸い寄せて付着させようとします。この静電気問題をいかに正しく対策できるかが、問題解決の成功を左右すると言えます。

 
ウェブクリーナ/パネルクリーナの問題と解決事例
車載電池製造ラインの必要な複数個所で除塵し異物混入を徹底的に防止
 

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この記事を書いたのは
私たちTRINCは、異物・静電気対策の専業メーカーです。異物×静電気問題から解放された理想的なものづくり環境を構築するための独自技術で、現場で日々問題解決に取り組む方々を全力で支援します。 企業概要ページはこちら
 
監修
経歴
高柳 順
名古屋大学大学院工学研究科量子工学専攻卒(工学博士)。専門は量子工学・応用物理学。名古屋産業科学研究所研究員やアイシン精機(現アイシン)を経て、株式会社TRINC(トリンク)現社長。
   

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