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静電気の物理

2-7 誘電体に働く力 (マクスウェルの応力)

誘電体に働く力 (マクスウェルの応力)

 
 
電界中におかれた誘導体(不導体)は誘導分極が発生し、外部の電界と逆向きの電界をつくるため、誘導体の内部の電界は外部の電界よりも弱くなります。したがって、誘導体の内部に蓄えられる単位体積当たりの電界のエネルギーは、外部空間の単位体積当たりの電界エネルギーに比べて小さくなります。このエネルギー差を保つためには、常に誘導体内部側から外部空間側に対して力が働いていなければなりません。 この力を「マックスウェルの応力」と呼んでいます。 


 

結晶は楕円形にひずむ 

マックスウェルの応力は、誘導体の表面と電界の向き、すなわち電気力線との交差角度、あるいは電界をうける面の面積の大小などによって、大きさがかわります。たとえば、1個の誘導体の球を右向きの電界の中においたとしましょう。球の左右の側面は電気力線との交差角度が大きいため、電界の力を大きく受けて左右に引っ張られますが、上下の面は電気力線との交差角度が小さいため電界の影響が比較的少なく、上下に引っ張られるちからは小さくなります。その結果、球は左右に長く、上下に短い楕円形状に変形します。 
 外部電界が加わったため、誘導体は緊張して楕円状に変形することによって、誘導分極によって生じた球の内部の空間エネルギー密度と外部の空間のエネルギー密度の差を維持するわけです。電荷が「誘起される」誘導分極とは、もともと物質内部の結晶構造が変化して、ひずんだ状態になることによって起こりますが、このひずんだ状態を保つためには、力がかかった状態でなければなりません。逆にいうと、力がかかった状態、すなわち緊張状態を続けている限り、分極状態は維持されることになります。このようなことは、誘導体にストレスがあれば起きるはずですから、電界に限らず、普通の機械的な力を加えることによっても結果として、分極を起こすことが予想されます。 


 

 

圧力センサーなどに応用されている 

現実に、電界をかける代わりに機械的な圧力を誘導体に加えてひずみを生じさせると同じように誘導分極現象が起こり、電荷が発生します。このように圧力をかけて発生した電気を「圧電気」と呼んでいます。圧電気の大きさと分極の関係は、加えた力の大きさと誘導体の種類によります。実際に、圧力センサーなどとして広く用いられています。 
 圧電気は「ピエゾ電気」とも呼ばれます。この現象は誘電体に圧力を加えて誘電分極を起こさせるものですが、誘電分極によって生じるマックスウェルの応力とは、ちょうど裏側の関係にあるので、静電気学では、前者(機械的な圧力による誘電)を「圧電の正効果」、後者(電界インカによるマックスウェルの応力)を「圧電の逆効果」と呼び分けています。 
 参考までに、誘導体とは、導電性よりも誘導性が優位な物質をいいます。外部電界を印加すると電荷が誘起される性質が物質の誘電性です。代表的な例としてプラスチック、セラミック、油などがあります。これらはいずれも、印加電圧に対しては電気を通さない絶縁体としてふるまいます。つまり、誘導体であり絶縁体でもありますが、誘導性と絶縁性とはまったく別の性質であり、優れた誘電材料だからといって優れた絶縁材料ともかぎりません。すなわち両者は全く別のものなのです。 


 
 
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経歴
高柳 順
名古屋大学大学院工学研究科量子工学専攻卒(工学博士)。専門は量子工学・応用物理学。名古屋産業科学研究所研究員やアイシン精機(現アイシン)を経て、株式会社TRINC(トリンク)現社長。
   

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