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静電気の対策

3-5 イオナイザー(除電器)の正しい理解

ポイント1. イオナイザー(除電器)からも静電気が発生する。

イオナイザーで品質の悪いイオンをかけると、静電気が発生します。品質の悪いイオンとは、イオンバランスの悪いイオンの事です。除電器による静電気は実際、大なり小なり発生している現象ですが、一般的にはよく知られていません。
 

除電器による静電気
 

1) パルス方式イオナイザー(除電器)のイオンバランス

ACパルス方式、DCパルス方式イオナイザーでは±500Vの脈動が発生します。脆弱な電子機器や半導体を除電するには、パルス方式は危険と言えるでしょう。

 

2) 直流(DC)方式イオナイザー(除電器)のイオンバランス

直流(DC)方式のイオナイザーは、ACパルス方式のよう変化や脈動は起こりません。だだし、イオンバランスは場所により変化しやすいため、適切な場所で用いれば、±1~3V程度に低くすることができます。脆弱な電子機器や半導体を除電するにはDC方式が向いているといえるでしょう。
 TRINCのイオンエンジン方式は、直流(DC)方式を進化させたもので小惑星探査衛星「はやぶさ」の主推進エンジンと同じ原理で動作します。

 

ポイント2. イオナイザー(除電器)が半導体を破壊する?

1) イオンバランスの脈動には注意!

ACパルス方式イオナイザー、DCパルス方式イオナイザーはプラス、マイナスのイオンを30Hz程度でゆっくり切り替える方式です。対象物にプラス、マイナスのイオンが次々と降りかかるため、イオンバランスの脈動が大きい欠点があります。イオナイザー業界では「スイングが大きい」といわれ嫌っています。ACパルス方式、DCパルス方式を使用したイオナイザーにはイオンバランスの脈動が±500Vもするものがあります。この脈動により電子機器や半導体などを破壊する恐れがあり注意が必要です。
 
パルス型除電器のイオンバランス
 
 

ポイント3. パルス方式イオナイザー(除電器)では永久に0Vにならない!?

1) ディケイタイム(減衰時間)

ACパルス方式イオナイザー(除電器)、DCパルス方式イオナイザー(除電器)は、イオンバランスが脈動を続けているので、除電対象物も同様に永久に脈動を続け0Vにはならないのです。
 

パルス方式イオナイザー(除電器)のディケイタイム
 


 

ポイント4. イオナイザー(除電器)のメンテナンス

1) 放電針(電極針)のメンテナンス

一般的な有漏電構造のイオナイザー(除電器)では漏電が起きるため放電針(電極針)を固定する絶縁体(プラスチック)が炭化して(焦げて)しまいます。炭化した部分は簡単なブラッシングでは落とすことができず、専門業者に依頼して溶剤で洗浄してもらう必要があります。
 TRINCのイオナイザーは無漏電構造なので、放電針(電極針)周辺が炭化する事はありません。TRINCのイオナイザーはワンタッチクリーナーがついているので清掃時間は一瞬(数秒)です。また、AUTO(自動)クリーナを使えば放電針を自動的に清掃する事ができます。
 

放電針(電極針)のメンテナンス
 

ポイント5. やっぱり、1)無風除電、2)空間除電、3)無漏電構造

1) 無風除電

無風イオナイザー(除電器)は内部でコロナ放電をさせてイオンを作り、イオンと放電針(電極針)との間に働く「クーロンの斥力」を用いてイオンを放射します。風を使わずイオンを飛ばすのでイオナイザー(除電器)からの異物の飛散はほとんどありません。放電針(電極針)に付着した異物も風による吹き出しがないので対象物に付くこともありません。無風除電の最大のメリットは風を起こさないため机や周囲に鎮まっているホコリを舞い上げて環境を破壊することがない事です。
 
無風除電

 

代表的な無風イオナイザー(無風除電器)

バータイプ   高精度バータイプ   防爆認定
バータイプイオナイザー
TAS-311 BAM
 
  高精度バータイプイオナイザー
TAS-321 BAM
 
  防爆認定イオナイザー
TAS-36 BAM-EPA
 
デスクトップ   小型・スポット   ハンディ
デスクトップ
TAS-812 SMT
  小型・スポット
TAS-112 SPOT
  ハンディ
TAS-21 GCB

 

2) 空間除電

空間除電が出来る「空間トリンク」は広い空間に無風で空気イオンを飛翔させます。プラスのイオンとマイナスのイオンが同じ量になるように制御されています、空間除電している範囲の静電気はイオンによって「すべて」中和されて消滅してしまいます。「すべて」と言うのは製品や部品の静電気はもちろんのこと、空間に浮遊するホコリの静電気も中和します。
 一般的な除電器(イオナイザー)は、製品や部品の静電気を除去するのみで浮遊するホコリの静電気の除去(中和)はできませんでした。ホコリが付着する現象は物体(製品や部品)の静電気とホコリの静電気が引き合って起きています。ホコリの付着を防ぐには物体(製品や部品)とホコリ両方の静電気を除去する必要があります。
 空間トリンクの「ホコリの静電気も中和する」という機能は、異物付着による不良を激減させることができるということです。実際に異物不良が92%減少したと言いう例も上がっています。
 
空間除電

 
 

代表的な空間イオナイザー(空間除電器)

標準モデル   高精度タイプ   防爆認定
標準モデル
TAS-811 SFS
 
  高精度タイプ
TAS-821 SFS
 
  防爆認定
TAS-83 SFS-EPA
 
耐熱   デスクトップ    
耐熱
TAS-804 SFS-HT
  デスクトップ
TAS-810 SMT-SFS
   


 

3) 無漏電構造

電気工学の基本に「エアと高電圧は同居させてはならない」があります。100Vの電源でもトラッキング現象(ホコリが付いて漏電が発生する現象)を恐れているのに、数千ボルトの高圧を用いてイオンを発生させているイオナイザー(除電器)を霧を含みやすいエアと絶対に一緒にしてはいけません。漏電を起こす事になります。
 無漏電構造は危険な高電圧は別室に格納して、エア流路と隔離した構造です。この構造を採用したTRINCの製品は従来、わずか1週間で壊れていたイオナイザー(除電器)の寿命を大幅に延ばし「10年使ったが未だノートラブル」と言う記録を樹立しました。
 
無漏電構造
 
 
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この記事を書いたのは
私たちTRINCは、異物・静電気対策の専業メーカーです。異物×静電気問題から解放された理想的なものづくり環境を構築するための独自技術で、現場で日々問題解決に取り組む方々を全力で支援します。 企業概要ページはこちら
 
監修
経歴
高柳 順
名古屋大学大学院工学研究科量子工学専攻卒(工学博士)。専門は量子工学・応用物理学。名古屋産業科学研究所研究員やアイシン精機(現アイシン)を経て、株式会社TRINC(トリンク)現社長。
 

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