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静電気の対策

3-2 イオナイザー(除電器)とは

目次



 

イオナイザー(イオナイザ - 除電器)とは

イオナイザー(イオナイザ - 除電器)とは、空気をイオン化して対象物に送ることで、対象物の静電気を除去する装置のことで、除電器ともいわれます。静電気の発生を抑えたい工程の静電気対策に効果的です。静電気は、感電以外にも、設備動作不良、半導体の破壊、装置の誤作動など、多くの問題を引き起こすため、静電気を除去したり無害化する必要があります。


 

イオナイザー(イオナイザ - 除電器)の原理

イオナイザーの原理は、一般的には以下のようになります。
 


除電対象物がプラス(+)に帯電する場合の例
 
1. イオナイザー内部にある高電圧発生電源でプラスとマイナスの高電圧を作り、放電針(電極針、放電電極)に印加します。
2. 放電針の先端は鋭利なので、先端の電界が極度にひずみ、コロナ放電が始まります。コロナ放電により、周囲の空気を電離させてプラスイオン(+イオン)とマイナスイオン(-イオン)を作ります。
3. 風を使用する場合(有風除電器)の場合は、ファンの風でイオンを除電対象物まで運びます。無風イオナイザー(無風除電器)の場合は、イオンが同極性の放電針から反発力を受けて、風が無いにも関わらずイオンが運ばれます。
4. 運ばれたプラスとマイナスのイオンが、除電対象物に帯電している反対の極性の静電気とクーロンの引力で引き合い、順次消滅します。


 

イオナイザー(除電器)のタイプ

空間タイプ

複数のイオナイザー(除電器)を配置し、相互作用させることで、広い空間にある静電気を除去します。
 
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バータイプ

イオナイザー(除電器)の形状が棒状になっており、主に幅広のフィルム、紙、シート、パネルなど平面的なワークの静電気除去に適しています。
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デスクトップタイプ

作業机の上に置き、製品や作業者を含む作業域の静電気を除去するイオナイザー(除電器)です。

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ガンタイプ

エアガン型の除電器(イオナイザー)で、手に持って対象物の静電気を除去しつつ、付着した異物を吹き払う装置です。
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スポットタイプ

限られた箇所(局所)を除電するための小型のイオナイザー(除電器)です。主に、機械装置内に組み込まれ、対象物を除電したり軽く除塵するために用います。
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無線アース

無線で(アース線をつなぐことなく)静電気を逃がす装置です。ロボット、パーソナルモビリティー、無人搬送車(AGV・AMR)、人など、アース線でつなぐことのできない動き回る移動体を除電するためのイオナイザー(除電器)です。



 
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防爆認定

塗装工場におけるシンナーなど可燃性ガスが充満し爆発する危険がある場所でも使用できる、国家認定を受けたイオナイザー(除電器)です。
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イオナイザー(除電器)の方式

静電気を除去するイオナイザー(除電器)には、原理・構造・イオンの生成方法によりいろいろな方式があります。

代表的には、
 ・プラスの放電針(電極針)からプラス、マイナスの放電針(電極針)からマイナスのイオンを放出するDC(直流)方式
 ・1本の放電針(電極針)からプラスとマイナスのイオンを交互に放出するAC(交流)方式
 ・プラスとマイナスのイオンを0.5~0.01秒程で切り替えて放出するパルス方式
 ・放電針(電極針)の代わりに板状放電電極を使用するプラズマ方式
などがあります。

技術的な観点から主要な得失(メリット・デメリット)をこちらでまとめていますので、皆様のご検討の参考に資したいと思います。
  



 

イオナイザー(除電器)の正しい理解

イオナイザー(除電器)からも静電気が発生する

イオナイザーで品質の悪いイオンをかけると、イオナイザーからも静電気が発生します。品質の悪いイオンとは、イオンバランスの悪いイオンの事です。イオナイザー(除電器)による静電気は実際、大なり小なり発生している現象ですが、一般的にはよく知られていません。
 


 

パルス方式イオナイザー(除電器)のイオンバランス

ACパルス方式、DCパルス方式イオナイザーでは±500Vの脈動が発生します。脆弱な電子機器や半導体を除電するには、パルス方式は危険と言えるでしょう。

 

直流(DC)方式イオナイザー(除電器)のイオンバランス

直流(DC)方式のイオナイザーは、ACパルス方式のよう変化や脈動は起こりません。だだし、イオンバランスは場所により変化しやすいため、適切な場所で用いれば、±1~3V程度に低くすることができます。脆弱な電子機器や半導体を除電するにはDC方式が向いているといえるでしょう。TRINCのイオンエンジン方式は、直流(DC)方式を進化させたもので、小惑星探査衛星「はやぶさ」の主推進エンジンと同じ原理で動作します。
 
 

イオナイザー(除電器)が半導体を破壊する?

イオンバランスの脈動には注意!

ACパルス方式イオナイザー、DCパルス方式イオナイザーはプラス、マイナスのイオンを30Hz程度でゆっくり切り替える方式です。対象物にプラス、マイナスのイオンが次々と降りかかるため、イオンバランスの脈動が大きい欠点があります。イオナイザー業界では「スイングが大きい」といわれ嫌っています。ACパルス方式、DCパルス方式を使用したイオナイザーにはイオンバランスの脈動が±500Vもするものがあります。この脈動により電子機器や半導体などを破壊する恐れがあり注意が必要です。
 

 
 

パルス方式イオナイザー(除電器)では永久に0Vにならない!?

ディケイタイム(減衰時間)

ACパルス方式イオナイザー(除電器)、DCパルス方式イオナイザー(除電器)は、イオンバランスが脈動を続けているので、除電対象物も同様に永久に脈動を続け0Vにはならないのです。


 

イオナイザー(除電器)のメンテナンス

放電針(電極針)のメンテナンス

一般的な有漏電構造のイオナイザー(除電器)では漏電が起きるため放電針(電極針)を固定する絶縁体(プラスチック)が炭化して(焦げて)しまいます。炭化した部分は簡単なブラッシングでは落とすことができず、専門業者に依頼して溶剤で洗浄してもらう必要があります。

TRINCのイオナイザーは無漏電構造なので、放電針周辺が炭化する事はありません。TRINCのイオナイザーはワンタッチクリーナーがついているので清掃時間は一瞬(数秒)です。また、AUTO(自動)クリーナを使えば放電針を自動的に清掃する事ができます。


 

やっぱり、1)無風除電、2)空間除電、3)無漏電構造

1) 無風除電

無風イオナイザー(除電器)は内部でコロナ放電をさせてイオンを作り、イオンと放電針(電極針)との間に働く「クーロンの斥力」を用いてイオンを放射します。風を使わずイオンを飛ばすのでイオナイザー(除電器)からの異物の飛散はほとんどありません。放電針に付着した異物も風による吹き出しがないので対象物に付くこともありません。無風除電の最大のメリットは風を起こさないため机や周囲に鎮まっているホコリを舞い上げて環境を破壊することがない事です。
 

2) 空間除電

空間除電が出来る「空間トリンク」は広い空間に無風で空気イオンを飛翔させます。プラスのイオンとマイナスのイオンが同じ量になるように制御されています、空間除電している範囲の静電気はイオンによって「すべて」中和されて消滅してしまいます。「すべて」と言うのは製品や部品の静電気はもちろんのこと、空間に浮遊するホコリの静電気も中和します。

一般的な除電器(イオナイザー)は、製品や部品の静電気を除去するのみで浮遊するホコリの静電気の除去(中和)はできませんでした。ホコリが付着する現象は物体(製品や部品)の静電気とホコリの静電気が引き合って起きています。ホコリの付着を防ぐには物体(製品や部品)とホコリ両方の静電気を除去する必要があります。

空間トリンクの「ホコリの静電気も中和する」という機能は、異物付着による不良を激減させることができるということです。実際に異物不良が92%減少したと言いう例も上がっています。
 

3) 無漏電構造

電気工学の基本に「エアと高電圧は同居させてはならない」があります。100Vの電源でもトラッキング現象(ホコリが付いて漏電が発生する現象)を恐れているのに、数千ボルトの高圧を用いてイオンを発生させているイオナイザー(除電器)を霧を含みやすいエアと絶対に一緒にしてはいけません。漏電を起こす事になります。

無漏電構造は危険な高電圧は別室に格納して、エア流路と隔離した構造です。この構造を採用したTRINCの製品は従来、わずか1週間で壊れていたイオナイザー(除電器)の寿命を大幅に延ばし「10年使ったが未だノートラブル」と言う記録を樹立しました。
 



 

イオナイザー(イオナイザ - 除電器)による解決事例

 エレクトロニクス 
ワイヤボンディング装置内の異物付着が77%減少
プリント基板加工時の付着異物が99%減少
   

 光学・精密機器 
光学多層膜コーティングの異物不良が51%減少
高性能レンズ保管時の異物付着が75%減少


 自動車 
搬送する電子部品の静電気による破壊を防ぐ
塗装前の車体研磨工程で異物付着率が74%低減


 化学・素材 
フィルム巻取り工程の静電気ショックがゼロに
シリコーンゴム混錬機の30kVの静電気がほぼゼロに


 医療・食品・日用品 
更衣室内で静電気によるクリーン服への毛髪付着が無くなった
カテーテル組み立て工程の手直しが30%削減



 

イオナイザー(除電器)に関するよくある質問・Q&A

Q:イオナイザー(除電器)を使っているのに効果がない。正しい使い方は?
A: 機種の選定、使い方、設置場所が間違っている、メンテナンスをしていないなどの原因が考えられます。
  詳しくは、こちら(イオナイザーは効果が無い?効果を発揮する機種選定と正しい使い方)をご覧ください。
 
Q:イオナイザー(除電器)の価格は?
A:主に、除電速度、除電範囲、サイズ、防爆認定品か、特定用途かどうか等により、価格が異なります。また、製品自体の価格だけでなく、ランニングコストにも注意が必要です。詳しくはこちらのページをご覧ください。
 
Q:イオナイザー(除電器)の除電範囲は?
A:タイプにより除電範囲が異なります。一番広いのは空間タイプで、TRINCの空間タイプ製品の場合、複数のイオナイザーの組み合わせによって除電範囲を無限に拡大することが可能です。
 
 
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この記事を書いたのは
私たちTRINCは、異物・静電気対策の専業メーカーです。異物×静電気問題から解放された理想的なものづくり環境を構築するための独自技術で、現場で日々問題解決に取り組む方々を全力で支援します。 企業概要ページはこちら
 
監修
経歴
高柳 順
名古屋大学大学院工学研究科量子工学専攻卒(工学博士)。専門は量子工学・応用物理学。名古屋産業科学研究所研究員やアイシン精機(現アイシン)を経て、株式会社TRINC(トリンク)現社長。
 

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